私と門倉専務は、普段から旅慣れしているので原則1泊の出張の荷物では、手荷物として飛行機に持ち込み、荷物を預けるような事はしない。
目的地に着いて預けてある荷物をベルトコンベアのところで待つのが嫌だからだ。
私達みたいな人は、原則せっかちなのだ(笑)。
手荷物検査場に行くとそこは、予想に反して大行列だった。
『やばっ。ちょっと時間ぎりぎりなっちゃうかな?』
と思った。そして、ちょっと嫌な事が頭をよぎったのだ。
それはまず、沖縄に来る時の羽田で起きていた。
手荷物検査を受けようとした時に背広のポケットに変なものが入っていたのだ。
沖縄に出張の数日前に、開発現場の解体をしている建物の中にあるものを分解をして車に積む為につかった6角レンチのセットがなんと背広のポケットに入ったままだったのだ。
持ち込み禁止の品物の写真の中に、ドライバーなども書かれている。
『めんどくせーな。没収されるのももったいないし。参ったな。車で気が付けば車に置いといたのに!しょうがない手荷物の中に紛れて入れとくか。もし見つかったらその時に相談してみよう。』
と、カバンの隅の方に入れた。
カバンは検査を受けたが、何も言われずに通る事ができた。
『良かった。まあ、分かっても6角レンチだけの10本セットで持つところも無いやつだったから大丈夫だったのかな?』
等と思いながら飛行機に乗り込んだ事を思い出した。
『ただでさえ混んでいて時間がギリギリなのに、あの6角レンチでゴタゴタしたらめんどくさいな~』
搭乗時間の5分位前で、やっと私の手荷物の検査の順番になった。
つづく