すぐに、乗ってきたタクシーを見ると、先の方に行ってしまっている。
『無理だな!追いつかない~。そうだ!ルイスに電話しよ!あっ、そうか?電話出来ないし!(悲)』
『やばっ、Eチケットも全部 iPhone だ!モバイルだった。さっきタクシーの中でモバイルチェックインしたんだった!』
と一瞬でいろんな事を考える。
『カードとかも入っているから、ヤバいな!』
『まず、電話をルイスに掛けるしかないな!会員制のタクシーを呼んだから、大丈夫だ!』
と空港の施設に走り出す。
靴擦れの痛みを堪えながら、あてもなく走りだした。
『日本人に頼んで、携帯をかりるか?公衆電話みたいのあるかな?小銭で掛けれるのか?』
みたいな事を考えながら、走る。
『 INFORMATION みたいのあるだろう!』
と、それらしきものを見つけて駆け込む。
片言の英語とボディランゲージで受付の男の人に電話を掛ける事を頼んだ。
ルイスの携帯の番号は、20年位前から変わらない。
私は、ルイスの携帯番号を暗記していた。
当時の携帯は、今みたいに電話帳の機能なんてまだない時代だった。
今や家族の携帯の番号も知らない時代だ。
急いで、ルイスの携帯の番号をメモ書きして、電話を掛けるように頼んだ。
NOを言わさない迫力だったと思う(笑)
ルイスに電話を掛けてもらうが、出ない様子のジェスチャーをする男。
もう一度掛けるように促すと、今度は出て広東語でしゃべっている。
電話を変わって、ルイスに事情を話し、すぐにさっきのタクシーに連絡をするように頼んだ。
『よし、何とかなる!まだ、そう遠くには行っていない筈だ!』
その時点で、タクシーを降りてから、3,4分ってところだ。
私は、電話を切ってその場所に留まった。
それしかないのだ。
ルイスと連絡を取る手段は、今この受付の電話しかないのだ。
1分くらい待っていると、受付の電話がなった。
ルイスからだ。
受話器を受け取ると
『電話あったよ。運転手は分からなかったらしいけど、女のお客さんを乗せたら、後部座席に忘れ物があるって言われたって、そして、何とか戻ってくれるように頼んだから!』
『良かった、それならすぐに戻ってくれそうだ!』
と話をしていたところで、ルイスにキャッチホンが入った
『運転手から電話だ!ちょっと待っててもう一度かけるから!』
と言ってルイスは、電話を切った。
また、しばらくそこで待機だ。
『今から戻ってもらったら、HK200$を払えばそのお客さんも許してくれるかな?運転手にもHK100$チップ渡せば良いかな?』
と自分の都合の良い考えが頭をよぎる。
『頼む、戻って来てくれ!』
すると、また、電話が鳴った。
ルイスだ。
電話を変わるとルイスが言った。
『お~っ、ダメよ~。女のお客さんが戻るのダメだって!尖沙咀まで急いでいるって言って戻ってくれないって!でも、運転手は、一度尖沙咀まで行って戻ってくるって、だから、さっきのタクシー降りたところでずっと待ってて!』
『ガーン!』
尖沙咀は、私が泊まっていたホテルのところの地域だ。
片道、最低30分は掛かるところだ。
つづく